トップページ>臨床研修日記 Part2
今年3月に本校の鍼灸学科を卒業した三枝良充さんですが、現在は附属鍼灸院にて臨床研修を行っています。
Part1では指導担当のア先生よりアドバイスを受けながら奮闘している様子が伺えました。
それから2ヶ月。鍼灸師としてまた一歩先へ進んだ三枝さんの様子をご紹介します。


(三枝良充さんコメント)
「卒後研修を始めてから早くも6ヶ月。目下の課題は、問診・脈診・腹診・舌診をもとに証(注1)をたて、治療方針を定め、患者さんにわかるように説明すること。そしてもちろん治療後に効果を確認することです。」

問診中の三枝さん
◆◆◆◆◆
まだ蒸し暑い夏の日の受付で。
患者さんはいつもに比べて背筋も伸びているようだし、表情も明るく、元気そうに思えた。
「今日は調子良さそうですね。」と声をかけようとしたが、一瞬、患者さんの訴えの方が早かった。
「先生、今日は調子がすごく悪いんです。」
(タイミングに救われた・・・!?)

ベッドサイドの最初の問診では、ストレスによる肝鬱(注2)かと思い脈をとってみると、肝の脈ではなく、脾が弱っている。それではと舌をみると、血行障害のようにもみえる。
ならば、きっと痛みがあるはずだと思って聞いてみれば、「時々ボーっとして頭が重い感じがする」とのこと。
(うむ、やっぱり頭痛もあったな・・・・)

四苦八苦しながら、状況説明と治療方針を説明したあとで、ア先生から「だいぶ湿(注3)がたまっているね。」と。
(あっ、そういえば「痛い」ではなく、今日に限って「重い」と言っていた・・・・・・)
では、頭痛じゃなかったのか!確かに湿が原因だとすると、いろいろな症状も納得できる!眼から鱗が落ちる思いがする一方で、患者さんの話をしっかり聞くことの難しさを改めて感じました。
それにしても、普段の表現と少し違う表現をしたことから、すぐにわかってしまうとは、経験の差もあるけれど、東洋医学のすごさ、すばらしさを認識。改めて、あこがれをいだいてしまいました。

(注1)「証」:東洋医学の考え方により病の本質をあらわしたもの。東洋医学の診断法によって導き出された証は、同時に治療法、治療方針を指し示すものとなる。
(注2)「肝鬱」:精神的ストレスは肝に影響しやすく、肝気の鬱滞が起こりやすい。精神的な抑欝、イライラのほか、便秘・下痢、生理不順、喉の閉塞感などさまざまな症状を起こす。
(注3)「湿」:病の原因の一つで、水分代謝の異常により体に余分な水分が溜まると浮腫、四肢の倦怠感、下痢・便秘、アレルギーなどの症状を起こす。梅雨時や夏の多湿な環境のほか、脂っこいものや甘味の食べすぎも原因となる。
私自身も、学校に入る以前から、いつも体が重だるく、下痢しやすく、足もむくみがちでした。1年生の時、附属治療院の先生に栄養の摂り過ぎで湿が溜まっていると指摘されたのが懐かしい。
治療を受けるとむくみは取れ、軽くなり、気分も爽快になり、勉強する意欲がわいてきたことを思い出します。

鍼灸学科教員 ア正彦先生より
「臨床では、しっかり患者さんの言葉を聞いていれば、大切な情報を私たちに伝えてくれています。普段の思いこみではなく、しっかり患者さんと向き合いましょう。」